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榎人(えのひと)です。
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                   I am 'Z→A' Parents.


父さんが死んだ、享年41歳だった。
原因は脳卒中。
仕事場で脳幹が破裂し倒れ、そのまま病院に運ばれたものの息を引き取った。
母さんが死んで、ほんの1年後の出来事だった。
当時の僕はその現実を知ったとき、不思議と涙は流れなかった。
いや、無意識に流してはいけないという理性が働いたのだと思う。
葬式に来ていた顔も知らないおばさんが、
「我慢しなくてもいいんだよ。悲しかったら泣いて良いんだよ。」
と言ってくれたけれど、それでも涙は流れなかった。
死というものが分かっていないわけじゃない。
むしろ分かっていないのは弟の方だった。
弟は僕の右手の指を握り、真っ直ぐ前を向いている。
その目に涙は浮いてない。
父さんが死んだということをまだ認識していないのだろう。
無理も無い。
小学生もなってない弟にこの現実を知れと言う方が非情だ。
これから僕らが行きていく上で唯一問題にはならなかったのは遺産相続だった。
父さんは一人っ子であり、父さんの両親も亡くなっている今、
遺産の殆どが僕らの手に渡った。
でも、僕らには遺産という生きていく上で最も必要な財産が残ったものの、
愛情という大きなものを失ってしまった。
ある国の王様が実験を行なった。
『それは愛情なしで子供は成長することが出来るのか』というものだった。
国中の赤ん坊を一室に生活必需品と共に閉じ込め生きていけるかというものだった。
勿論その実験に使われた赤ん坊は皆死んだらしい。
その実験結果により王様は愛情が無かったからだと言ったらしいが、
単純に考えてそれは生活能力が無いという結論で済ますことが出来る話だ。
しかし、その話を抜きにしても親の愛情無しで生きていくのは苦悩しかない。
その現実を世界は僕らに叩きつけた。
近くでは母方の親戚達が僕らを誰が引き取るかで揉めていた。
このような場合は子供を2人も引き取るのは面倒であり、
親戚同士押し付け合いのような形になるのが定番だが、
目の前で行なわれているのは誰もが自分が引き取りたいという言い合いだった。
そこに愛は無かった。
誰もが僕らについてくる遺産こそが本命だった。
そんな大人の薄汚い世界に、僕は弟を巻き込みたくは無かった。

僕は誓う。
弟を僕の手一つで立派な人間に育て上げると。
その日から僕は、この子の両親になった……



~考察~

これは、両親がいなくなった兄弟のお話です。
兄が弟を一人で育てていくと言う話で、
学校に行くとき幼稚園に弟を預け、
学校(バイト)の帰りに幼稚園で弟を引き取り家に帰る。
家では弟の面倒を見続け、寝静まったら勉強(宿題)や家事等を済ます毎日を送る。
そのような繰り返しの毎日で、
兄が子育てがいかに大変かということを知り、両親の偉大さに気付き絶望するも、
弟の一つ一つの成長に兄が感化され兄弟共に成長していく、という内容でした。
それから数年が経ち、弟が兄離れを始めることにより、
兄の何とも言えない胸にぽっかり穴が開いたような感覚や、
自分の今までの生活が本当に正しかったのかという不安。
今まで弟のために尽くしてきた生活だったため、
これから何を目的として生きていけば良いのか苦悩する。

というようなお話を書きたかったのですが、
自分の文章力と知識では到底深く書き表すことが出来ないと言うことと、
ノンフィクション風に書きたかったので、人生経験が少ない私では現実感が表せず、
現実的では無い独りよがりな物になってしまうと思ったので没にしました。

物語って難しいです。
本格的に文章を書く練習とかしないとダメかなぁ。
これからも没が出来たら載せていこうと思います。

ではでは…
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